予防接種

おたふくかぜ(ムンプス)に対する予防注射

ムンプス難聴予防のため平成30年1月からおたふくかぜの予防注射を開始しました!

1.疾患の概要

おたふくかぜ(ムンプス・流行性耳下腺炎)は、ムンプスウイルスの飛沫感染で感染します。2〜3週間の潜伏期間を経た後、片側または両側の耳下腺や顎下腺が次々に腫脹します。唾液腺の腫脹は発症後1〜3日でピークとなりその後3〜7日かけて消退します。唾液腺の腫脹を認めるのは、ムンプスウイルス感染者の約70%ですが、年齢の小さい子供ほど顕性感染率が低く、4歳を越えると90%以上の子供は顕性感染します(唾液腺が腫脹する)。ムンプスウイルスの感染期間は、唾液腺腫脹が始まる3日前から腫脹後5〜7日頃までです。

2.予防接種の効果

おたふくかぜ(ムンプス)ワクチンは、ムンプスウイルスを弱毒化して作られた生ワクチンです。1回ワクチンの接種を受けると、95%の人が免疫を獲得します。また発症したとしてもワクチンを受けた子供は、耳下腺の腫脹期間が短く、髄膜炎の合併率も1/10に低下します。ムンプス難聴や成人の睾丸炎の予防のためにもおたふくかぜワクチンの接種は、重要です。特にムンプス難聴は、一旦発症すると適切な治療を行っても難聴の進行を止めることが困難で高度の難聴(ほぼ聾)を遺します。


ムンプス難聴についてはこちら(読売新聞平成29年11月22日号掲載記事)

読売新聞地方版2016

クリックにて詳細表示されます。

3.おたふくかぜの合併症

おたふくかぜにかかった人の1〜10%無菌性髄膜炎を合併しますが、一般的に予後(治りやすさ)は良好です。一方、0.02~0.3%の割合でムンプス脳炎、0.01~0.5%の割合でムンプス難聴を合併しますが、予後不良です。ムンプス難聴は片側性の場合が多いのですが、時に両側性難聴となり、人工内耳埋め込み術が必要となる場合もあります。


思春期以降になって初めておたふくかぜにかかると、男性では20~40%の割合で睾丸炎、女性では5%の割合で卵巣炎を合併します。妊娠早期に妊婦がおたふくかぜに罹患すると流産の危険率が高くなりますが、胎児への催奇性は報告されていません。

4.おたふくかぜワクチンの副反応

以下におたふくかぜの自然感染の症状とワクチンの合併症(副反応)の発症の程度を比較した表を記載します。おたふくかぜワクチンの接種後に最も問題となる無菌性髄膜炎の副反応出現率は、0.01~0.1%で自然のおたふくかぜ発症時の合併率の1/100以下です。


ムンプス自然感染の症状とワクチンの合併症
5.ワクチンの接種
  • 1歳以上であれば任意接種として接種できます。(定期接種ではありません。)
  • おたふくかぜにかかると保育園や学校を長期間休まなければならないこと、 発病は3〜6歳が多いことから、MRワクチン1回目、水痘ワクチン1回目、Hibワクチン1期追加、小児用肺炎球菌ワクチン1期追加を終了した後、できるだけ早期(1歳)に接種することが勧められています。
  • また免疫を強くするため数年後(3〜7歳時)に2回目の接種が勧められています。

任意接種のため全額自己負担となり、当院では1回7000円(税込)です。

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