当院で扱う疾患

3.顔面神経麻痺

顔の筋肉を動かす顔面神経の麻痺により起こります。一般的に患側の筋肉が弛緩し、額にシワが寄せられない、目が閉じない、口角を上横下に動かせない、などの症状を呈します(図1)。
「おかめ・ひょっとこ」の「ひょっとこ」がその典型例とも言われていますが諸説あります(図2


原因

原因の一つとして過労やストレス、寒冷刺激などがあると言われています。最も頻度が高いものは、ベル麻痺と言われるものです。原因は不明と言われていますが単純ヘルペスウイルスの感染が疑われています。また水痘帯状疱疹ヘルペスウイルスの感染が原因である場合は、予後が悪く(治りにくい)、顔面神経麻痺に併せて患側の耳介付近の水疱、めまいなどが出現するものはラムゼイハント症候群として知られています。またそのほかに外傷によるもの。頭蓋内の疾患(脳梗塞や出血、腫瘍など)が原因である中枢性麻痺も頻度は少ないですが見られます。耳鼻咽喉科で取り扱う麻痺は、主に末梢性麻痺と言われるものです。


治療法

ステロイド剤、神経代謝賦活材、循環改善剤や抗ウイルス剤を内服、点滴で投与します。大量に投与するため糖尿病、高血圧、胃潰瘍、精神疾患、緑内障などの持病がある方は、担当のかかりつけ医の先生とも相談の上、入院治療をお勧めする場合もあります。また特に症状が重篤な場合も入院治療が必要となります。


薬物治療のほか、星状神経節ブロックや高圧酸素療法も行うことがあります。また手術で側頭骨内の顔面神経管の解放術を行う場合もあります。


リハビリテーション

3週間程度は、顔面の安静を保ち、その後、顔面筋のマッサージや麻痺後の病的共同運動を防ぐためのリハビリの指導をいたします。顔面神経麻痺は、風邪のように数日で完治するものではありません。通常は、数週間。長い人出は数ヶ月後に回復される方もおられます。焦らず気長に治療を受けてください。

図1
顔面神経麻痺

右側で口角が下がり、頬のしわ(鼻唇溝)が浅くなっている。また、右眼の閉眼困難もある。

図2
ひょっとこ

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